良い夫婦の日の話 – 腕白BOYとピアニストになりたかった男
作戦はあんじょう行って、エレベーターガールと元腕白ボーイは結婚しました。そうして、何年が経ったでしょうか。ふとしたことがきっかけで、エレベーターガールにもと腕白ボーイは尋ねてみた。
『僕たちが結婚する前に、夜道で君を助けたことがあったね』
『えぇ、良く覚えていますよ。あの夜がきっかけでしたね。』
『その時、絡んできた相手の顔をもしかして覚えてるかい?』
『もちろん、覚えているわ。わたし、仕事柄人の顔は覚えが良いのよ』
『実は、あれは・・・』と元腕白ボーイに戻ったような顔つきで、神妙に告白した。
『へぇ、そんな事が・・・』
『驚いたかい。』
『もちろん、驚きです。・・・でも、その人のおかげで、あなたと出会えたんですし、結婚して今はとても幸せよ。今度、その方をお招きなさいよ』
11月22日の今日は、『良い夫婦の日』です。
クラシック音楽の作曲家、演奏家にも良い夫婦はたくさん居ますけど、おざなりな話題だけどシューマンとクララの夫婦が1番でしょう。夫婦のエピソードとしては例えられることがあまり無いけど、ワーグナーとコジマの夫婦も生前よりもその後に影響したことでは『良い妻』だったとわたしは思っていますが。
さて、シューマンは今でこそ作曲家の重要な存在として、小学校の音楽の教科書でもお馴染み。バッハ、モーツァルト、ドヴォルザークと素敵な夫婦は居るけれども、教科書にはシューマンの曲って他の作曲家ほどには出てこないんじゃないかしら。名前は覚えやすいし、音楽教室の肖像画の中ではおかっぱ頭で普通に近所で出会いそうなお兄さんです。作曲家と言うより商社マンと言った印象ではないですか?
今の時代だったら、ヴェンチャー企業を興しているような人物だったかもしれません。ヴィーク家にピアノの弟子になりたいと熱心に売り込んで、内弟子になるのですが、ヴィークもしつこさに根負けした形。印刷屋の後を継ぐのが嫌でピアノを学び始めたシューマンは、ただクララの身近にいたかっただけだったんじゃないかと、わたしは感じて仕方がありません。
尻を叩いたのはクララの方で、作曲家として成功したし、印刷の仕事は嫌だったと言っても楽譜出版や後の音楽情報誌として残っている『音楽新報』の発刊には役立っている。年の差はあったと言っても、クララもまんざら将来の読みは父親以上に確かだったように思えます。
今日のような日に、思い出を造りながら聴くのに良いレコード。
シューマンがクララをメインに置くことを狙いとして『室内楽の年』の作曲した名作。ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲は、皇室でも親しまれているとか。
シューマンの交響曲第4番は、クララとの新婚旅行の思い出が閉じ込められています。
米WESTMINSTER/XWN-18575/イェルク・デムス(p)、バリリ四重奏団/シューマン:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲/9,450円(送料+税込)
仏 PATHÉ MARCONI/CCA-896/オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア/メンデルスゾーン:交響曲No.4「イタリア」、シューマン:交響曲No.4/6,300円(送料+税込)
米RCA/LHMV-13/グィド・カンテルリ指揮フィルハーモニア/シューマン:交響曲No.4/9,450円(送料+税込)




