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Music by Franz Waxman — Classical Notes

Music by Franz Waxman

手負いの主人公は戦争で傷ついた男たちのシンボル。

ヒッチコックのサスペンス映画『裏窓』は昭和29年夏にアメリカ公開、日本は翌30年のお正月映画でした。

この映画の中で、アパートの一角にダンスを踊っている女性が下着姿でサスペンスを和ませる。
エッチさが艶かしさにならずに、ユーモアになっている。
何人か厳しそうな男が彼女の部屋にいるシーンが有るのですが、最後に兵役を終えた小柄な男が帰ってくる。
この歓迎ぶりで、彼女が待ち焦がれていたことが伝わる。

戦争から戻ってきた男たちは、傷を負いくたびれきっていることだろう。主人公は映画冒頭で片足に負傷する。
そんな彼にかわって、グレース・ケリーや世話役のおばさんが犯罪捜査をする。
おてんば的な冒険ではなく、傷を負った男の代わりに美女が犯人に挑む。

これは美女たちが、と言うのが良いだろう。

で、ヒッチコックの映画では監督である彼の登場しているシーンが楽しみです。映画『裏窓』で彼は、アパートの上層に住む作曲家がピアノを弾いている隣で時計のネジを巻いています。ネジを巻くという行為に、わたしはシンボリックなものを感じるのです。

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ピアノを弾いている作曲家も、生粋のアメリカ人ではないと感じるのです。
映画の最後にプラス仕立てのドーナツ盤のレコードがポータブルで再生されて周囲を和ませますが、アメリカで成功するための苦心をしたことでしょう。
ヒッチコックの映画ではバーナード・ハーマンが作曲しているのが有名ですが、フランツ・ワックスマンがヒッチコック作品以外でも一般大衆向けの映画に多く作曲しています。

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聴きどころは…

ヒッチコックがバーナード・ハーマンと仕事をするのは1955年からのことです。
『めまい』、『北北西に進路を取れ』、『サイコ』、『鳥』といった映画音楽としても印象深く、映像とともに音楽が脳裏に再生されます。
後ろの2つの作品では、実験的な効果音としての役割もしています。ヒッチコックはそちらの方向へ興味を移していったのか、録音効果の理想を持っていたのでしょう。
「引き裂かれたカーテン」でヒッチコックと意見が合わないで(たもと)を分かちます。

映画音楽は商業音楽というより機会音楽の一種であり、ハイドンやモーツァルトがダンス音楽を作曲したように、自分は映画音楽を作曲する(ハーマン)

イギリス、アメリカの20世紀音楽に造詣が深く、チャールズ・アイヴズを擁護する一方、ウィリアム・ウォルトンの新ロマン主義的な作風に傾倒したハーマンの特質が感じられるのが『知りすぎていた男』でしょう。クライマックスの暗殺シーン。発泡するタイミングをコンサートでのシンバルが響く音に合わせるというのは、音楽好きにはたまらない。
このドキドキを楽しむために、折ある毎に見入っています。
暗殺者がタイミングを図るために録音を繰り返し聴いている場面がありますが、曲は当時一般に知られていました。

映画『知りすぎていた男』は、イギリス時代の「暗殺者の家」をヒッチコックがセルフ・リメイクしたものです。アーサー・ベンジャミンの『ストーム・クラウド』は既にその作品で使用されていたのを、ハーマンが楽器を追加してダイナミックな演出効果をあげました。

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暗殺者の魔弾から一命を救ったお礼にと大使のサロンに招待され、ドリス・デイが「ケ・セ・ラ・セラ」を歌うと、監禁されている息子が口笛で応える。
ヒッチコックが映画を作り始めた頃、映画はまだ音声のないものでした。役者の芝居もしっかりと表情が撮れるものではなかったので、ストーリーと画面作りが良かったのでしょう。人気があったので最初のトーキー作品の監督に選ばれます。

映画『知りすぎていた男』は、音楽とストーリー、そしてシーンの作り方がとってもシンクロしています。今で言うPV映像作家資質。ドリス・デイが息子とメロディで交信するところなんてミュージカルのようです。
フランツ・ワックスマンが映画『裏窓』にミュージカルの要素を植えつけたと、わたしは感じています。

音楽の内容と映画上の物語を繋ぐことに焦点を置いている(ワックスマン)

ユダヤ系ドイツ人だったワックスマンは、ナチスによる迫害でドイツを離れフランスで映画音楽の仕事を始めます。マレーネ・ディートリッヒを一躍有名にした映画「嘆きの天使」でモーツァルトの音楽をベースにした音楽はエーリッヒ・ポマーの感心を引き、ハリウッドに活躍の場を移すことが出来ました。

暗雲たれこめるヨーロッパを離れて、ワックスマンはハリウッド映画に新たな1ページを加えた。暇な時には、後からロサンジェルスにやってきたアルノルト・シェーンベルクに教えを請うた。アメリカのスタイルに馴染もうと一生懸命なイメージが、映画『裏窓』に登場するピアニストに重なるのはわたしだけでしょうか。

レベッカの音楽でも感じられることですがワックスマンの音楽は、共通する思いはあってもハーマンとは対照的です。
ハイフェッツのソロ・ヴァイオリンで演奏されることを念頭にビゼーの歌劇「カルメン」をハリウッド・サウンドに仕立てたような「カルメン幻想曲」がクラシック音楽のレパートリーとして、ヴァイオリン奏者の技量を示す曲としてあります。
映画のなかの出来事がソロヴァイオリンを主人公に様々な苦難を乗り切っていく、そんな音楽だけでストレートな感情が伝わってくる。
ビゼーのオペラ「カルメン」は男と女の立場から、誰もがわかりやすく自分を投影しやすいでしょう。それだからかハイフェッツの演奏で聴く時は、ハイフェッツの人生のように感じるのでしょう。パールマン、ムターの演奏のように、この曲から感じる物語は絡みあう肉体、汗、涙、、、、。

ワックスマンの音楽は編曲が随分と多いですが、昔話の引用をすることで音楽を楽しむ大切な一つを教えてくれます。
もう何十回見返した映画ですが。見終わった後の感想は変わることはないのに、元気をいつでももらうことが出来る映画がある。

有名なお伽話には、世界との付き合い方が書いてあります。ハッピーエンドがあるって知るだけでも、心強いものです。

詳細
http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e793619.html
http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e793620.html

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